2007年05月25日
ニュースメモ(2007/05/20-2007/05/26)
News【2007/05/25】
1996年12月のサイト開設から10年半でトップページへの300万アクセスありがとうございます。RSSや検索エンジンの普及でトップページのアクセス数は余り関係なくなっていますが、1つの区切りとして。
[society] 2007・2008年度経済見通し~消費主導の成長を模索する日本経済
[society] 2007・2008年度の内外景気見通し(要旨) 緩やかに増勢鈍化し、高原状態へ-実質成長率は2007年度2.1%、2008年度2.1%-
[society] 2007・08年度内外経済見通し (pdf)
[society] 2007・2008 年度日本経済見通し~景気減速は一時的かつ軽微。息の長い景気拡大が続く~ (pdf)
[society] 2007年度・2008年度の景気予測(2007年5月改訂)-個人消費の下支えなどによって景気は引き続き回復基調を維持- (pdf)
各シンクタンクの予測。景気減速は一時的で、概ね好景気が持続。
[society] NHK「日本の、これから/地方衰退」(5/19 on air)雑感
[society] 福祉と地方財政と / コンパクトシティーが切り捨てだという珍論
[society] NHK:日本のこれから「止められますか地方の衰退」
たまたまTVつけたら一瞬だけ見かけましたが、誘導したそうな方向が見え見えですぐ消してしまいました。
[society] 『若者の生活と労働世界』から、湯浅・仁平論考に関して
「意欲の貧困」と「溜め」について。企業と家庭に代わる社会的福祉機能の必要性。
[society] フリーターが採用されないわけ
入社してからの年数としての年功序列というか、正確には年齢序列ということですか。全然合理的じゃない。
[society] 人づきあいの国際比較
家族ぐるみで付き合う習慣が余りないから、結婚して世帯を持つと、世帯ベースの行動になり、友人との関係が疎遠になりがちというのはありそう。
[work] 若者はキャリアをどう築くべきか? -学校から職業(企業)への移行 (5)
正道、王道を歩め、と。
2007年05月21日
エコシステム・マーケティング
Business | Society日本企業で初めて2兆円の営業利益を発表し、目下絶好調のトヨタだが、国内では販売台数の減少に悩んでいるらしい。
[business] はてなブックマーク > J-CAST ニュース : 国内で車売れない危機打開策 トヨタ本気でアイデア募集
[business] はてなブックマーク > 痛いニュース(ノ∀`):“若者、車離れ” 日本国内で車売れない…トヨタ、本気でアイデア募集
よく読むとアイデア募集といっても社内への募集であって群衆に求めている訳ではなく、一流の戦略コンサルティング会社や広告代理店、調査会社といったプロフェッショナルをフルに活用できる立場にある訳で、素人が意見する必要もないだろうが、若干の思いつきを書いてみたい。
現在のビジネスが1企業で完結しなくなっているのは改めて言うまでもないが、企画、研究開発、マーケティング、営業、製造、販売、物流といった業務プロセスの多くが複数の企業に跨ったものになり、クラウドソーシングといった言葉が登場してきたように、生活者や外部の個人をもが業務プロセスに組み込まれていく中で、今、企業は自社を取り巻くエコシステムをより真剣に考える必要が出てきていると考える。
エコシステムとは日本語では生態系だが、自然界において、肉食動物が草食動物を食べ、草食動物が植物を食べ、といったような形で微妙なバランスのもとで成り立っているというものである。そこでは、ある時特定の種のみが突然増加しても、食料が食い尽くされてしまって生き残れなくなり、次第にもとの、あるいは別の均衡点でのバランスが取れた状態に戻っていくことが観察されている。
ビジネスにおけるエコシステム(ビジネス・エコシステム)も同様であり、顧客やパートナ企業を含めてプロセスに関わる全てのプレーヤがハッピーにならなければ、1つの企業だけが突出した利益を上げるようなモデルは、短期的には成立しても、長期的・持続的に成立しないということになる。もしかしたらトヨタは、このエコシステムの軋みを今、感じているということなのかもしれない。
軋みの1つは、2ちゃんねる&痛いニュースやはてなブックマークで「おまえが言うな」と豪快に総ツッコミされている、国内における経済格差問題だろうか。東京都の年収500万円未満が過半数を超えたという話があったが、例えそれが高齢者世帯、単身世帯の増加によるものであるにせよ、自動車のような高額な出費が難しくなる理由になりうることには変わりはない。
[society] はてなブックマーク > 東京都:年収500万円未満世帯、初の過半数 過去最多-今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
また、これから継続的に自動車を購入してくれることが期待される20代後半から30代前半のボリュームゾーンの世代が就職氷河期にハマり、安定した仕事に就きにくい状況も、今後ボディブローのように効いて来る可能性が高い。それを生み出した主要因は不景気だが、一因として、トヨタをはじめとした経済界が推進している「雇用の流動化」、具体的には派遣・請負ビジネスの拡大もある。国内の自動車市場が、多くの人が安定したそこそこの収入を得られた総中流社会を前提として成り立っていたのだとすると、景気回復と言っても地域間や世帯間で様々な格差が開いている今の日本の中では、到底市場の広がりは期待できないことになる。
[society] 地域間の景気格差は拡大しているか?
[society] 実感はなくても消費は増える、という話 (企業の収益配分構造が、従業員から株主重視に移れば、投資ができる余裕のある比較的裕福な世帯がより有利になり、世帯間格差が拡大する)
もっとも、この点でトヨタを責めるのは酷でもあるかもしれない。実際、トヨタを中心とした東海地方は地域別の景況感を見る限り明らかに潤っており、少なくともトヨタ自身の給与水準はメディアや金融は別格として十分高いレベルにある。自動車以外の産業、特に今では7割近くを占める第3次産業に従事している人たちの賃金水準の低下によって打撃を受けている分がよほど大きい訳で、ある意味では、被害者でさえあるかもしれない。
とはいえ、被害者面も許されないので、1つの例として、都心の月極駐車場ビジネスへの参入、もしくはすでにしているかもしれないので拡大が考えられないだろうか。地方では交通機関が充実していないのでいずれにしろ自動車を使わざるを得ないが、都心においては、「足」の機能としての側面が弱く(非婚化・シングル化で世帯人数が小さくなれば尚更)、加えて月3-4万円の駐車場料金も負担感が大きい。ここに、相当に低価格での駐車場提供、しかも、トヨタ車を料金・サービス面で優遇する、ということになれば、自動車を持つ事の維持費による負担感が軽減され、心理的な障壁は下がるのではという仮説である。これは、顧客の利用シーンの周辺に目を配ることで、顧客と企業全体がハッピーになることを狙う、エコシステム発想のシンプルな例と言えるだろう。他にも、気持ちよく乗れるための都市部の渋滞緩和など、カイゼンすべきことはいくらでもありそうだ。
冒頭、国内市場をどうするか、ということにおいては、国内に見切りをつけ、海外重視を進めるというのも恐らく1つの正解ではあるだろうが、あえて国内を考えるのであれば、単に優れた新商品の開発やブランディング、プロモーションを見直すだけではなく、顧客が置かれた状況、社会背景やパートナ企業を含めたエコシステム発想での戦略が一層重要になると考える。人間が自然の生態系を破壊するリスクに対して、エコな自動車を提供して行くことも大切だが、「ビジネスエコ」なビジネスをして行くことが、売り上げが国家予算の3割にもなる、日本を代表する超大企業に期待されるCSRではないだろうか。
関連: [business] トヨタの本気に釣られて見るテスト。
関連: [business] 支持政党別に出たアイデア 笑った。
関連: [society] Baatarismの溜息通信 - 何故国内でクルマが売れないのか?
2007年05月20日
非コミュ指数とコミュニケーション環境
CommunicationAmeba NewsやGIGAZINEに取り上げられてアクセス数が跳ね上がった非コミュ指数テストだが、率直に言って1ヶ月そこらで10万回以上試されるほどの反響があるものとは思ってもみなかった。
非コミュ指数テストはそもそもコミュニケーション能力(特に感情系コミュニケーション)がある特定の範囲(図1)にある人を想定して、自らの「生きづらさ」のようなものを相対化し、悩んでいる or ストレスを感じているのは決して自分だけではないことを知ることで、ある種の安心感を持つことができるのではないかという仮説で作成しているものであり、設問の「あるある感」を狙いこそすれ、もちろん何の科学的根拠があるものでもない。半分以上の「普通の人」にはそもそも関係ない話だし、本当に社会的能力に問題を感じている方は専門家に診てもらうべきである、と考えていた。
図1 コミュニケーション能力分布と非コミュ指数テストの想定対象層
さて、実際にα版を公開し、色々とコメントを頂く中で少なからず頂いており、かなり意外だったものが、「思ったより指数が低かった」というものである。確かに評価方法にもクセがあり、非コミュ要素の積み上げ方式ではなく、非コミュ要素よりもコミュ要素の方が多いと基本的にほとんど非コミュ指数ゼロになってしまうところにも「思ったより低」く出るという欠点はあるため、改善の余地がある。
しかしテストがテストだけに、何かしら思い当たる部分がある人がテストをやって頂いたとすると、多くのユーザが普段の生活の中で何らかのコミュニケーションに関わる「非コミュ的な」ストレスを感じているにも関わらず、「思ったより低」く出てしまうのには、それ以上の何かがある可能性も考えられる。
それは、もしかしたら「コミュニケーション能力に見合ったコミュニケーション環境が与えられ(=コミュニケーションの場に参加するチケットが貰える)、かつその場が要求するコミュニケーション能力レベルはその人の能力を少しだけ上回っているため、どんな環境においても場を支配できる程度にズバ抜けてコミュニケーション能力が高くない限り、どのレベルにおいてもそれなりのストレスを感じているのではないか」という可能性である(それを「非コミュ的」であると呼ぶかどうかは別として)。
例えば、合コンでうまく場にとけ込めず、全く成果を上げられない人は、「自分はコミュニケーションが苦手である」と感じているかもしれないが、彼(女)よりもコミュニケーション能力が低い人は、そもそも合コンの場に呼んですら貰えず、「コミュニケーションが苦手である」と感じる機会すらないかもしれない、ということである。
であるとすれば、「コミュニケーションが苦手」の苦手のレベルにそもそも大きな格差がありそうであるが、非コミュ指数が拾いきれていない、想像よりも多くの人たちが、コミュニケーション能力に関して悩みを抱えているのかもしれない。これが「空気」やコンセンサスを重視する日本特有のものなのかどうかは不明だが、外国語版を作ってみれば分かるのだろうか。「おひとりさま」などパートナスタイルへの寛容さにおいては、日本が諸外国に比べて進んでいるはずではあるのだが。
2007年05月19日
ニュースメモ(2007/05/13-2007/05/19)
News【2007/05/19】
[society] ふるさと納税、知事会割れる 4都府県が反発
長期的には都市部も高齢化問題が直撃するから微妙ですが、短期的に得する県と損する県の反応が正反対で分かりやすい。
[society] 希望はどっちだ?!-釜石調査中間報告・希望学構築- (pdf)
キーワードは「風」。
[society] 人が集まらなくなった福祉現場
[society] この国の教育にいま、起きていること 第6回 免許更新制と教員受難のパラドクス (苅谷剛彦)
教育、介護、医療といった、「「良い格差・悪い格差」を超えて」でも挙げた重点的に取り組む必要があると考えてる業界ばかりが厳しくなっているように見えるのは、どの業界も厳しくなっているけど不可欠だから目立つだけなのでしょうか。
[society] 文藝春秋6月号 「悪魔のビジネス 人材派遣業」
「データ装備費」の意味が分かりませんが、ググると廃止になったみたいです。
[partner style] はてなブックマーク > 「男性にリードしてもらいたいのよ……」~亀山早苗コラム(20)~ - OhmyNews:オーマイニュース “市民みんなが記者だ”
「負け犬マトリクス」に繋がってくる話かな。「上方婚」はまだまだ根強い?
【2007/05/18】
[society] 団塊世代が考える「本格リタイア時期」と6つの「したい生活像」 (pdf)
本格リタイア時期は65歳。60代後半以降のライフスタイルでは、「社会貢献派」「面倒回避派」が多い。
[society] 「社会人基礎力」育成のススメについて~社会人基礎力育成プログラムの普及を目指して~
「社会人基礎力」を育成するためのリファレンスを提供。
(参考) [society] 「社会人基礎力」を巡る議論
[society] 家計調査(3月) - 消費の回復傾向続く (pdf)
[society] 消費動向調査(2007年4月) ~消費マインドは横ばい圏内~ (pdf)
個人消費の動向。
[society] 魅力的な会社のポイントは“ワークライフバランス”
[society] 「心の病気」労災認定、過去最多の205人…30代が4割
仕事への価値観が変わりつつある中で、労働力不足は深刻化しており頭が痛いところ。
[society] 【何歳でもOK!】赤ちゃんポストが捨て放題ポストになったよー\(^o^)/
自ら入りに行く発想はなかったわ。AAに笑った。
[business] 生産性競争の時代 -日本は再びキャッチアップできるのか
日米の違いは、業務プロセスを効率化しても、効率化された分の余剰人員を解雇できる訳ではない、ということでしょうか。
[communicaiton] 実践性の高いSST(social skill training)の本を発見!
これは読んでみたいかも。
【2007/05/16】
[society] 若年雇用対策は少子化対策の一環で~新推計人口が意味するもの①(労働市場編)~ (pdf)
高齢者・女性・若年層活用による労働力確保は一時的なものであり、中長期的には出生率向上か外国人労働者の導入しかない。少子化対策として若年(特に就職氷河期)雇用対策を捉える。
関連: [society] 規制改革の意義と今後の重点分野・課題
[society] 景気循環週報 (pdf)
景気は以前拡大基調という大本営発表の中、「景気はすでに後退局面入りの可能性が大きい」。
関連: [society] 月例経済見通し5月号 要約 名古屋に続くことはできるだろうか
関連: [society] 雇用逼迫は物価回復を後押しするか? (pdf)
[society] 狂童日報 - 大増税時代は宿命である
声の大きい偉い人たちや主要メディアの社員は増税しなくても困らないし、社会サービスの圧縮で本来困るはずの人たちはほんの少しでも手元のカネが減ることを嫌がる、ということでしょうか。
[society] 「思い入れ」という人間性の非効率 2
人がそれほど合理的ではないということ。ただ中途半端に僻地でも生活できるインフラを整えてしまったというのはあるでしょうね。
[society] 「仕事の将来に不安」30歳代の82%…読売ネット調査
読売ウィークリーの方では、「給料「大氷河期」」と表現されてるヤツですか。
関連: [society] 今後の賃金制度における基本的な考え方―従業員のモチベーションを高める賃金制度の構築に向けて―
[business] ヤマダ電機をはじめとする大手家電量販店は悪
独占企業でもない限り、差別化が難しい中では、必然的に消費者に近いところほど発言力が強いことに。ゲーム機とか以外ではAppleぐらいか。
【2007/05/14】
[society] 少子化対策を考える国際シンポジウムー日本、スウェーデン、フランスー (pdf)
フランスの週35時間労働規制がサルコジ大統領のもとで撤廃されてからどうなるかでしょうか。
関連: [society] 少子高齢化社会の働き方の多様化の推進 (pdf)
[society] 幸福度に関する研究~経済的豊かさは幸福と関係があるのか~
「自他イメージの一致」「時間密度」と幸福感に相関が見られるとの分析。
[society] 経済財政諮問会議での農業論議
周囲で、バブル期地価が上がった時に、農地を売って一財産稼いだ家があるのを横目で見てたりするがために、今更下がりきった価格で売れないというのもあるかもしれませんね。
参考: [society] 経済連携協定(EPA)の現状と今後の方向性について
[communication] 会話・交際が減ってきている日本人
世帯を持っている社会人男性が時間的になかなか機会を持てない状況を裏づけ。
【2007/05/13】
諸事情でネットから離れていましたが再開です。
[society] 「ふるさと納税」:「ふるさと」記入欄とともに「死に場所」記入欄も必要でしょう
「死に場所」、つまり引退後をどこで過ごすかの方が地域の社会福祉関連費用の負担感として重いため、片手落ちというお話。今でこそ若者の流入が多い都市部ですが、数十年後はそのかなり割合が高齢者として負担で跳ね返って来る訳ですからもっともです。
関連: [society] 日経社説:疑問点が多い「ふるさと納税」
[society] 少子化社会におけるワーク・ライフ・バランスと幸福感―非線形パネルによる推定―
経済的合理性だけでは測れない「幸福感」に着目。「子供数は主観的幸福度にはプラス、生活満足度にはマイナスの影響」と。
[society] 少子高齢化・人口減少時代に日本は成長を確保できるか~求められる「バランスのとれた危機意識」~ (pdf)
過度な悲観論はよくないが、労働力・需要の両方の要因で人口減少でも「生産性向上」により成長を維持できるというのはそれほど容易ではなく、相当な努力が必要。
[society] グラフで見る景気予報
各要素の状況。全体的には景気回復が続いている。
[society] なぜ、サービスの生産性は上昇しにくいのか~IT神話に囚われ続ける処方箋~ (pdf)
「サービス生産性」が上がりにくい福祉・介護や派遣サービスが増加しているから、とかサービス対価の問題、製造業の「プロセスイノベーション」の実態といういつもの話のまとめ。
関連: [society] IT利用産業(サービス産業)における労働生産性の日米英比較~IT資本深化が与える影響についての一考察~
[society] 生産性について
何のための「生産性」なのか、というところに立ち戻ることが必要ということでしょうか。
[business] ライフスタイルを創造する新しい女性消費者群 (pdf)
セグメンテーションの変化。
関連: [business] 女性のキャリア教育の必要性
2007年05月07日
ニュースメモ(2007/05/06-2007/05/12)
News【2007/05/07】
GW後半分。
[society] 食料事情:世界的に悪化の懸念 需要急増や環境問題で
国内農業保護による自給率増加は経済連携協定(EPA)が関税引き下げにより国内農業に打撃を与えがちなのとは相反する訳で、結果的にどちらが持続的な食料確保に繋がるかを利権争いを超えて考えて頂きたいところ。円安と食料の国際市場価格の高まりによって、最終的には国産価格と釣り合いが取れてしまうことになりそうな気もします。
[society] キッズベースキャンプ
お値段はそれなりに張りますが、「社会化」という意味で広がりが期待される。
関連: [society] 動き出した「放課後子どもプラン」 (pdf)
[society] はてなブックマーク > 愛・蔵太の少し調べて書く日記 - ネットカフェ難民なんてただの報道の演出です
[society] ネットカフェ問題はテレビ局の捏造ではないか?という疑念があるらしい件
いずれにしても現在は不可視(原因の構成が不明)なので、調査待ちか。
[society] はてなブックマーク > セクハラは男性にもダメ 裸踊り強要など|生活|生活・健康|Sankei WEB
むしろ今まで男性は対象外だったことが意外。男性の意識変化(嫌がる人が増えた)なのか、それとももともと多くの人が感じていたけど表立って言えなかったのかどちらですかね。
[partner style] フェミニストの若き論客が語る性・家族・結婚
「出産」と「親であること」と「性的志向」を分離する。
[subculture] エロキャラ×声優×ライブチャット Ero-Cha[えろちゃ]
オンラインギャルゲーがありえるとすればこんな形か。直感的にはアリ(=ニーズがあり)そうですが、声優が張り付いてないといけなそうなため、ビジネス的にスケールしないのでサービス価格が高くつくて広がらないかなぁ。
2007年05月02日
ニュースメモ(2007/04/29-2007/05/05)
News【2007/05/02】
[society] 慎重さをみせた展望レポート~2007年4月「経済・物価情勢の展望」の読み方~ (pdf)
景気拡大が物価や賃金上昇に繋がらない状況を織り込む。
[society] トリアージのお話
番組観ましたが、黒札の人にもコメントを、というトーンもありましたが、全体的には理解を広める意味で良かったのかなと。医療のサービスレベルの期待水準の適正化をしていくしかない。
関連: [society] 「医師逮捕」心キレた
関連: [society] 患者の「院内暴力」急増
[society] 狂童日報 - NHKスペシャル(「高速ツアーバス 格安競争の裏で」)
今日深夜0:10から再放送。昨日の「ベッド難民は何処へ行く」もですが、いい仕事してます。
[society] はてなブックマーク > 想像力はベッドルームと路上から - 「デモをやる元気があるならその分努力しろ!!」
何十倍ものデモに参加できない/しないサイレントな人たちの声をどう届けるか。
関連: [society] 格差社会に「使い捨てやめろ」 フリーターら、メーデー集会
[society] 10~20代の若者のケータイ利用、「自宅での休養中」「就寝直前」で60%以上に。 (pdf)
世代によるケータイ利用シーンの違いの資料として。
【2007/05/01】
4ヵ月ぶりにスパム対策を見直した上で、MTのコメント機能を復活させました。そもそもプロセス数制限が厳しいのでこれで行けているか不安ですが…。
[society] 正規・非正規賃金格差縮小
若年層の人不足により賃金格差が縮小傾向。中高年でも縮小しているのは年功序列型の定期昇給がなくなる方向にあるからか。
[society] 日本企業の大学新卒者採用におけるコンピテンシー概念の文脈 自己理解支援ツール開発にむけての探索的アプローチ (pdf)
若年層採用においては「コンピテンシー」は抽象的にしか使われていない。「人間力」みたいなものか。
[society] か・け・い消費
「感動」、「健康」、「癒し」を提供するサービスが消費の中心に。
[society] 成人式に「65歳になったら毎月37.3万円の年金もらえるよ」と言う厚生労働省・その試算と可能性
今とは物価が違いますから、所得代替率でみる必要がありますが、「物価上昇率は年1.0%、賃金上昇率は年2.5%、運用利回り年4.1%」の仮定にリアリティがない。
[society] はてなブックマーク > 狂童日報 - 「左翼」が支持されない理由
現場が見えていない&現実の生活から遠い、ということか。
関連: [society] 「左翼」の退潮に関する管見
関連: [society] これは、もう「革命」と呼ぶべきでは。
[business] 企業合併における人事制度統合の進め方 / 「選びあう」採用 ~人材逼迫時代だからこそ薦めたい採用のキーワード~
多少ネガティブな情報もオープンに。
[work] 「株式会社という病」を読む
会社全体としては無理ですが、チームレベルでのマネジメントでは「歓声の上が」るチームを目指したいものです。
[communication] はてなブックマーク > Welcome To Madchester - 非モテが「コミュニケーション」という名のカードゲームをプレイする事
カードゲームのアナロジーは空気の読める社会(2)でも使いましたが、本当にゲーム化できそうな感じですね。i)自分と同じ話題カードを持っている人は必ずそれ(複数持っている場合は任意で)を出し、より大きい数字の人がカードを持っている人が全員のカードを取り、プラスポイントになる。ii)ただし、同じ話題カードを誰も持っていなかったらその分がマイナスになる。iii)カードを取った人が次の話題カードを出す。iv)カードを全部使い切ったらマイナスペナルティ、とかいう感じで。
【2007/04/30】
横浜美術館の「水の情景-モネ、大観から現代まで」を観てきました。梶井照陰が印象に残ったかな。
[society] 人手不足経済をどう見るか (pdf)
人手不足の中の労働分配率と団塊世代。
[society] ヨーロッパをむしばむ賃金格差
最低賃金の引き上げが有効との指摘。家事的な対人サービスが格差を前提としているのはこれまでも指摘してきたところ。
[society] 認可保育園、17時00分でガラガラの謎
2人で働いてリスクヘッジするのが当たり前になりつつある中で、普通のフルタイム共働きの人が利用しにくい保育園って何だそれって感じ。
[society] 天下り論
「天下り」は全体のシステムの中で動いているので、それだけをなくすとおかしくなる。大衆のやっかみが批判の根っこにあるから難しいですが。
関連: [society] 公務員の若年昇進の是非
[business] 政府がホテル・飲食店を採点、顧客満足度を公表へ
理解不足かもしれませんが、サービス生産性って同じサービスに対してより高いカネを払ってくれた方が高くなると考えると、サービス競争が激化して、同じカネに対してより高いサービスを提供しないといけなくなると、むしろサービス生産性が下がることになるのでは。ただでさえ、日本で要求されるサービス品質は高い訳で。サービス競争によって同じ労働投入に対して提供できるサービスが向上し、消費者がより高いカネを払ってくれるのなら、確かにサービス生産性は高まりますが。
[business] 戦略的CSR
自らのビジネスに役立つ社会貢献に注力する。海陽中等教育学校なんかはそういう意味もありますか。
[business] 社員の主体性が「人事評価」を決める
松井証券の人事制度について。「『好き嫌い』も評価基準になる」は有名。
[education] 全体の7割以上が小中学校の学力が低下していると感じている
いじめが最も問題視されている。
[partner style] はてなブックマーク > 【2ch】ニュー速クオリティ:10代~30代の女性800人が選ぶ、こんな男とだけは絶対結婚したくないランキング栄えある1位は・・・・
[partner style] はてなブックマーク > 痛いニュース(ノ∀`):10代~30代の女性800人が選ぶ、こんな男とだけは絶対結婚したくないランキング
見合いによる敗者復活が困難になった背景。
[partner style] はてなブックマーク > 痛いニュース(ノ∀`):実家住まいを続ける男に対する独身女性の意見「甘ったれ、マザコン、恋愛対象にならない
[partner style] はてなブックマーク > pal-9999の日記 - 実家暮らしの男が女性に嫌われる理由
[partner style] はてなブックマーク > pal-9999の日記 - 家男と家女と結婚
恋愛においては、致命的な障害になるとは思いませんが、結婚においてはi)実家に住み続ける場合→男性両親との同居は避けたい、ii)結婚を機に独立→母親に期待していたことが全て降りかかってくるリスクということがあるか。
[communication] 痛いニュース(ノ∀`):店員から話しかけないようにするカード登場
「気づき」の仕組みの一種だけど、これはどうだろう。このカードがあることで、逆にカードをつけてない人は話しかけてもOKという風にならないかな。プロセスの標準化ではあるけど、安易にカードに頼ると店員の観察力育成の妨げになりそう。
[communication] 非モテ1.0、2.0、3.0?
個人的にはモテ1.0と非モテ2.0-3.0で使ってますかね。つまり、「どちらでもない」人が8割ぐらいいるってこと。
[subculture] 渡辺淳一『あじさい日記』に激怒する女性たち
むしろギャルゲー的なものは昔の女性観が抜けきらない人向けの補完ツールで、あくまでも過渡的に必要とされたものなので、そのうち廃れていくのではと思ってましたが、必ずしもそういう訳ではなさそうですか。ブログの炎上具合は笑った。
コミュカードゲーム
SubcultureGWなので、非コミュ指数テストに続く思いつき企画として、カード運用の雰囲気をどこまで出せるか分かりませんが、コミュカードゲーム「非コミュイズム(仮)」を試しに本当にゲームにしてみました。実際に遊んでないので、面白さやゲームバランスは正直分かりませんが、気が向いたらブラッシュアップするかもしれません。
【カード種類】
※カードはpdfをダウンロードして印刷してください。
cards20070502.pdf (2007/05/02)
[トークカード]
i)ノーマル話題カード(ファッション、ミュージック、ムービー、ラブ x15=60枚)
一般的な話題のカードです。同じ話題のカード枚数が多くなっています(=その話題を分かる人が多いということ)。得点計算時、ファッション、ミュージック、ムービーは1枚1点、ラブは1枚2点。
ii)オタク話題カード(アニメ、ゲーム、マンガ x4=12枚)
オタクな話題のカードです。同じ話題のカード枚数が少なくなっています(=その話題を分かる人が少ないということ)。得点計算時、1枚5点。
iii)ヒキカード(ドンビキx4、プチヒキ x8=12枚)
同じ話題のカードを持っていない場合に、代わりに出す事ができます。点数がマイナスになっており、他のプレーヤにいかに掴ませるかが基本的な戦略です。得点計算時、ドンビキ1枚-10点、プチヒキ1枚-5点。
iv)チェンジカード(4枚)
次のターンで、強引に話題を変更し、自分が話題提供者になることができます。得点計算時の点数は0点です。
v)スルーカード(8枚)
同じ話題のカードを持っていない場合に、華麗にスルーして代わりに出す事ができます。得点計算時の点数は0点です。
以上、基本トークカード96枚でプレイします。
[拡張カード]
i)ペルソナカード(10枚)
拡張ルールです。後述します。
【プレイ人数】
4-8名
【ゲームの勝者】
高得点を取ったプレーヤが勝ち。
【準備】
幹事(親)が96枚のトークカードをシャッフルし、プレイ人数に応じ、手札として伏せて配ります。
4-5人: 15枚、6-8人: 12枚。
配られなかったカードは、そのゲームでは使いません。
拡張ルール: ペルソナを採用する場合、ペルソナカードをシャッフルし、1人1枚伏せて配り、全員配った後、一斉にオープンします。
【プレイ】
基本、トリックテイキングゲーム。「ブラックレディ」というトランプゲーム(Windows XPとかにも「ハーツ」として入っている)に近いでしょうか。カードを配った人(幹事=親)を最初の話題提供者(一般に、リードする、と言う)として、手札から最初に1枚表にして出します(一般に、台札と呼ぶ)。時計回りに次の人は、「最初に出された話題と同じ話題のカード」(ファッションならファッション、アニメならアニメ、という具合に)を順々に出し、1周して全員がカードを1枚ずつ出したらそのターンは終了です。出されたカードのうち、「最初に出された話題と同じ話題で、数字の一番大きいカード」を出した人が、そのターンに場に出された全てのカードを手に入れます(手札には戻さず、自分の前のところに裏にして集めておきます)。また、そのターンの勝者は、次のターンの話題提供者として、手札から1枚を出し、時計回りに次の人が「そのターンの最初に出された話題と同じ話題のカード」を出して行きます。以降同じように手札がなくなるまで繰り返します。
「最初に出された話題と同じ話題のカード」がなかった場合、以下の2通りの対応があります。
i)「ドンビキ」「プチヒキ」「チェンジ」「スルー」カードを持っている場合、それを出すことができます。いずれの場合も、最初に出された話題と同じ話題ではないので、他の人が勝者となりますが、「チェンジ」の場合のみ、強引に次のターンはその人が話題提供者となります(「チェンジ」が同じターン内で複数出された場合は、より後に出した人が次のターンの話題提供者となります)。「ドンビキ」「プチヒキ」はマイナス得点のため、これを利用して「掴ませる」ことができます。
ii)上記のいずれもない場合、もしくは戦略上、上記のカードを出したくない場合、「チンモク」を宣言し、1枚カードを選んで裏向けたまま自分の前に置きます(捨てます)。一旦捨てたカードは、後のターンで使う事はできません。これによって「チンモク」回数がカウントされます。
なお、一応、ターンの一番最初にも話題提供者が「ドンビキ」「プチヒキ」「チェンジ」「スルー」カードを出すことができます。この場合、以下のように処理します。
i)「ドンビキ」「プチヒキ」を最初に出した場合、他の人は、「ドンビキ」「プチヒキ」「チェンジ」「スルー」カードを出すか、「チンモク」することができます。そのターンの勝者は、最初に「ドンビキ」「プチヒキ」を出した人となり、「チェンジ」が出されていない場合、引き続き、次のターンも話題提供者となります。実際上マイナス得点を溜め込むだけで何も良い事はありません。「話題に詰まった状態」と考えてください。
ii)「チェンジ」「スルー」カードを最初に出した場合、左隣の次の番の人が、代わりに話題提供者となり、自由にトークカードを出せます。自分から話題を振れないために次の人に回した、ということになります。他の全員が、「スルー」カードで流れた場合、次のターンでは再度同じ人が話題提供者となります。
【得点計算】
手札枚数分のターンが終了したら、得点計算です。自分が手に入れたカードの得点を合計します。また、「チンモク」回数が最も多かった人(「非コミュ」)と、その次に多かった人(「プチ非コミュ」)は、ペナルティとして、それぞれ-10点、-5点を受けます。「チンモク」回数1,2位(もしくはそれ以降)の枚数が同じ場合、合計の「-15点」を人数で割ったもの(切り捨て)がペナルティとなります(例えば、2人が同枚数で1位の場合、-7点ずつ)。「チンモク」が0枚の人は、ペナルティ対象にならないため、「チンモク」したのが1人だけの場合、-15点がまるまるペナルティとなります。
【拡張ルール: ペルソナ】
各プレーヤにペルソナ(個性)を追加し、「コミュニケーション格差」を体験する拡張ルールです。10枚のペルソナカードをシャッフルし、各プレーヤに1枚ずつ配って使います。自分が受け取ったペルソナカードがそのゲームにおけるペルソナです。ペルソナには以下の10種類と、それぞれ特殊なスキルがあります。i)タイクカイケイ(体育会系) 有利度: ★★
自分の番にいつでも好きな時に、1ゲーム1度だけ、普通のトークカードを出す代わりに、「チェンジ」カード相当の機能を持つ、「タイクカイケイカード」を使えます。この場合、「チェンジ」カードとは異なり、そのターンの最初に出された話題と同じ話題のカードを持っていても構いません。声が大きく、強引に場の主導権を得る事ができる訳です。タイクカイケイカードを使った場合、自動的に、ゲーム後は1枚カードが余ることになります(「チンモク」としてカウントはされません)。
ii)イケメン 有利度: ★★★★★
得点計算時に、「ドンビキ」「プチヒキ」のマイナス得点がプラス(それぞれ+10点、+5点)になります。イケメンは、ドンビキされるような話題でも、「物知り」ということになり、あらゆるマイナス効果がプラスに転換されるのです。もっとも、余りにもスキルが強力過ぎるため、容易にゲームバランスを破壊しますので、「ドンビキ」「プチヒキ」のマイナス得点を0点にする、ぐらいにするか、このカードを除いてからシャッフルした方がいいかもしれません。
iii)ギャル 有利度: ★★★
得点計算時に、ファッションの話題のカードの得点が2倍になります。
iv)オジョウ(お嬢) 有利度: ★★★
得点計算時に、「非コミュ」「プチ非コミュ」のペナルティ対象から外れ、残りの人から決めます。お嬢様は、黙っていてもニコニコしているだけでサマになるのです。
v)オタク 有利度: ★★
得点計算時に、オタク話題カード(アニメ、ゲーム、マンガ)の得点が2倍になりますが、「ドンビキ」「プチヒキ」のマイナス得点も2倍になります。公共の場において、マイノリティ度の高い話題を振ることは、相手のツボにハマればガツンと懐に入れるけど、ハマらないとドンビキされる、ハイリスクハイリターン(?)な戦略なのです。
vi)ミュージシャン 有利度: ★★★
得点計算時に、ミュージックの話題のカードの得点が2倍になります。
vii)モヒカン 有利度: ★★★
自分の番にいつでも好きな時に、1ゲーム1度だけ、普通のトークカードを出す代わりに、「モヒカンカード」を出す事で、そのターン中、次の人からは「チンモク」しかできなくすることができます。空気を読まない厳しい発言で、場が凍り付いてしまう訳ですが、結果的に場を制御することもできます。モヒカンカードを使った場合、自動的に、ゲーム後は1枚カードが余ることになります(「チンモク」としてカウントはされません)。ターンの一番最初に出した場合、次のターンも引き続き話題提供者となります。
viii)エイガツウ(映画通) 有利度: ★★★
得点計算時に、ムービーの話題のカードの得点が2倍になります。
ix)ドウケ(道化) 有利度: ★★
「モヒカンカード」を使われた場合を除き、自分の番で「チンモク」することができません。代わりに、そのターンの最初に出された話題と異なる話題でも何でも出す事ができます(当然、最初に出された話題と異なる話題では、勝者にはなれません)。沈黙を避けたい道化は、とにかく場を盛り上げようと頑張りますが、おいしいところを他の人に持って行かれてしまうため、必ずしも上手くいかないようです。
x)ヒッキー 有利度: ★
いかなる場合も、各ターンの最初の話題提供者になることができません。あるターンの勝者となり、かつ「チェンジ」カードが使われていない場合でも、左隣の次の番の人が話題提供者となります。ヒッキーは自分から話題を振ることができないのです。ただ逆に言えば、ターンの「最後の番」がいつも回ってくる訳ですから、それを利用して起死回生の戦略が立てられるかもしれません。
2007年05月01日
「ネクスト・マーケット」の日本への示唆
Business | Society以前から読もう読もうと思っていてようやく読んだのだが、「ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略」(原題: 「The Fortune at the Bottom of the Pyramid: Eradicating Poverty Through Profit(ピラミッドの底辺に眠る富: 収益を上げながら貧困を根絶する)」)という本の存在を知った時に感じたのは、まず国内の貧困を根絶しようとはしないのか、というある種義憤にも似た感情だった。言うまでもなく、米国は社会実情データ図録の「所得格差の国際比較(OECD諸国)」や「所得格差の長期推移及び先進国間国際比較」でも比較されているように日本よりもずっと格差は大きく、米国型資本主義が引き起こす貧困問題についての「先進国」だからだ。そして今、日本国内でも「ワーキングプア」や「ネットカフェ難民/マック難民」といった言葉がメディアを賑わすほどに、貧困問題が現実のものになりつつある。
しかし、実際にこの本を読んで分かるのは、これは「貧困層ビジネス」についての本ではなく、あくまでもBRICsやVISTAなどの言葉で語られる「新興国ビジネス」についての本である、ということである。実際、本書後半では、半分以上のページを割いて新興国で成功しているビジネスケースが収録されているが、多くがインドのように人口が多いために潜在市場規模が非常に大きく、成長著しい国におけるものが多く、その意味で訳書の「ネクスト・マーケット」というタイトルはこの本質を捉えていると言える。
日本がまた、こうした「ネクスト・マーケット」に取り組んで行く必要があることは間違いない。人口減少社会へと向かう中での成長戦略として生産性向上が重要なのは確かだが、「年収倍増計画」とか高度経済成長とかの時代ではない(当時はむしろ日本が「新興成長国」だった)のだから、単に生産性が向上すれば自動的に消費が増えるものでもないし、産業構造の変化により輸出が難しくかつ生産性を高め難いサービス業の占める割合が増えている中では、国内市場だけで成長を維持するのは困難である。
「ネクスト・マーケット」が提示する貧困の解決手段は、フェアトレードのように新興国の人々を生産者とし、「公正な価格」でモノを買うことで自立を促進する、というものとは異なる(必ずしも社会起業家という訳ではない)し、インドなどで躍進するIT産業のように、物価の違いによって先進国向け輸出を急成長させ、現地の相場としては高収入を得て行く(ある意味ではフェアトレードの一種?)のとも異なる。何しろ新興国の人々を「消費者」にしようというのだから。
常識的には、物価の違いにより非現実的なのではと思ってしまうが、「ネクスト・マーケット」のケースの多くでは、資本の投入と技術やプロセスのイノベーションの創出、現地の人々の教育やコミュニティの育成によって、これを実現しようとする。どんな産業でも実現できる訳ではないことかもしれないが、ポイントはこれまで現地に眠っていた有能で意欲的な人々を育てることで、軌道に乗った後の実際のモノやサービスの生産・提供を現地の人々で行い、かつ現地の人々が享受することで物価差をクリアするところと、かつ人口ベースの大きさでボリュームを生み出して行くところだろうか。
この辺りが、同じ「消費者」にするにしても社会福祉搾取や低品質・低価格なだけに陥りがちな先進国内における貧困層向けビジネスとは根本的に異なっている。「ネクスト・マーケット」が狙うところでは、新興国の人々が豊かになればなるほど、より高額なモノ・サービスを売れるようになるため、新興国の人々が豊かになることは全くウェルカムであるからだ。その意味で、国内に「ネクスト・マーケット」はあるかといえば、国内に限定された人口ボリュームやエコシステム構築の困難さなどの点で、残念ながら期待できない、と言うしかない。
しかしそれでも、国内でも有効な、本書が示唆するヒントが、2つほどあるように思える。1つは、コミュニティの重要性である。特に「ネットカフェ難民/マック難民」において顕著だろうが、ケータイによる日雇い労働者集め(ワンコールワーカー)と相まって、これまで以上に人々が分断される方向が強まっており、そのような中では、苦楽をともにする仲間を見つける事はますます困難になる。新しいタイプの組合も生まれつつある中で、そうした情報を広げ、コミュニティを育成して行くことは、非常に重要であると思われる。
もう1つは、仕事のやりがいを高める自尊心の問題がある。「ネクスト・マーケット」では、これまでビジネスの表舞台に出て行くことが難しかった女性を中心に、ビジネスリーダとしての誇りと意欲を持ち活躍していく様子が繰り返し取り上げられるが、「人を人と思わぬ扱い」が横行する日本の労働の末端現場で、自尊心を育む事は率直に言って難しいと言わざるを得ない。ストレスの矛先が企業間・企業内のいずれにおいても上から順々に降りてくる状況があるにせよ、仕事におけるパートナに対して「人として接する」ことは、日本の職場が閉塞感を打破して行くために必要なことではないか。(もっとも、「同情するならカネをくれ」ではないが、何よりもまず「カネの問題」(最低賃金と雇用の一定の安定性)が先だろうが。) これは単に人道主義的観点というよりもむしろ、人口減少による労働力不足の中で、生産性を高め、持続可能なビジネスを実現するための、結果として合理的な「ネクスト・マネジメント」としてという意味でである。
【関連リンク】
[society] 日雇い宿無しフリーターをターゲットにする「貧困層ビジネス」の実態
[society] BRICsの台頭と世界経済への影響
[business] BRICs台頭の光と影:2006年の注目点 (pdf)
【関連書籍】
ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 C.K.プラハラード スカイライト コンサルティング 英治出版 2005-09-01 by G-Tools | 未来を変える80人 僕らが出会った社会起業家 シルヴァン・ダルニル マチュー・ルルー 永田 千奈 日経BP社 2006-09-21 by G-Tools | ||