『飲んでません・が酔ってます・から書いた』 -1999年12月-

■ワタシ、妖しい・・・1999-12-27 (Mon)
お仕事の味方です。・・・・って何をたくらんどるねん。

「1970年代後半」のニューミュージックで良く聴いた「ボサノバなのにハイハットでキープしてるリズム」っていうのを作ってました。
ちなみに、ジャズ系の奴はスネアのリムショットと踏みハイハットでキープしてます。ハイ。

何度作っても、あややのや〜な出来になるので、しばらく休みを取って、久しぶりに知り合いのベーシストに電話。

「あの1970年代後半のシンガーソングライター御用達のボサノバであってボサノバでないような・・・」

「はぁはぁ、『あの日に帰りたい』やな。」

泣きながら〜♪ちぎ〜った写真を〜♪・・・・

「あ、そうそう。あんなリズム作ろうと思ったら、なんかヘンにズレまくるんですわ。やってる全員アクセントがちゃうみたいな」

「あれってどんなんやったっけ???」

しばしの昔話の結果「ドラムはたいしたことやってへんのとちゃうか」という結論。

電話を切ってみて、その通りにやってみて、納得。

はぁ、頑張りすぎて損したかも・・・。

でも、もう死滅してるリズムってあるんですね。

「何々風」って奴。今では本格物がノシてきて、忘れ去られてしまうという。

ちょうど春巻きの皮が昔は薄焼きタマゴだったのが、本格的な薄くてパリパリな皮に変わってしまったみたいなもんでしょうか。(←そんな時代を知ってる人間がいるのか)

・・・で、そんな死滅したリズムを発掘してきて、何を企んでるのか。
・・・うふふふふ。それはヒミツです。(あうっ)

■おもいっきり・・・・1999-12-28 (Tue)
疲れた。

修羅場といってもココロの修羅場とカラダの修羅場がある訳です。

ココロの修羅場というのは、2ヶ月で30曲とか大きなスパンの修羅場。

ココロを乱すとオシマイなのです。

調子の悪いときはじっくり待って、決して構想も立たないのに走ってはダメなんです。

締め切りがジワジワと近づいて、でも平常心を失うと負けという修羅場。


カラダの修羅場というのは、突然やって来るのです。

「お願いやぁ、今日の10時までに×××をなんとかぁぁぁ」

「ゲゲゲゲッ、そんなん聞いてへんがな。」

「長い付き合いやんかぁ。頼むわぁ」

で、食事も止めて、作って送る。

で、1時間ほどしてメールチェック。

わわわっ、またなんか入ってるで。

「ごごご、ゴメン、××××も忘れてた〜」

「何で箇条書きで考えへんね〜ん」

まぁ、電話の向うはどどどどど修羅場みたいなんで、またよろよろと立ちがって仕事。

で、作って送って・・・。

「ごめん、最初に頼んだ奴の動作が一部おかしいんやけど。」

いきなり調査、あわわわわわ、ソフトのバグに引っかかってるみたいや。

「すまーん、30分待ってくれー。30分で直して送るから〜。」

「判った待ってるで〜」

これが半日ほど続くと、足元フラフラ、目もウツロ。この時はアドレナリンがすべてですね。
平常心とかそういうペースじゃないですから。

何て言うか、自分のクロックじゃなく、開発商品のクロックで動かされてると。

まぁ、自社ブランドで物を作るソフトハウスって最後は大抵そうですが。

会社辞めて、それでも時々こういうのがやってくるのも、ま、醍醐味かな・・・と。

でも、あとヘロヘロなんですよねぇ。はぁぁぁぁぁぁぁ。

頑張ったご褒美に缶コーヒーに牛乳混ぜてカフェオレでも作ろうっと。

■いよいよ暮れも・・・1999-12-29 (Wed)
押し迫り、市場、スーパー、その他諸々の広告が乱れ飛んで、ひなたぼっこをしながら、広告を見るのが楽しいワタシにとっては、楽しい限りだ。

各店が熱い戦いを繰り広げる。

QPマヨネーズの500g98円は安すぎないか。

地タマゴ2Lサイズ1P78円は結構来るものがある。普通の特価だと88円かな。

カルビーのポテチ1つ48円。

サッポロ一番5ケ入り198円。うーむ普通は特価で256円ぐらいなんだけど。

もっと驚いたのはトーフ1丁18円!
ワタシはトーフ1丁を湯豆腐にすると胃が重い。半分ずつ2回にわけてオカズに・・・かな。
で、一日2食だから10丁買って10日食べても180円!!

なんか、ここまで安いと逆に怪しいですね。
完全遺伝子組み替えトーフとか。

まぁ、各店最後の「勝負」を掛けてくるという気迫にあふれた広告でした。あう、満腹。


相変わらず一日2食のペースだけど、寒いので、薄切り肉を解凍しておいて、スキヤキ丼でも作って食べようと思う。
・・・が肉の冷凍庫の固まりを解凍するとミニステーキだった。うむ、不覚。

しょーがないので、タマゴ丼を作って食べる。
ちょっと残ってたトーフは湯ドーフにして夜食にでもしようっと。

■なぜか昼から・・・1999-12-30 (Thu)
カラダがダルい。
まるで妊婦にでもなった気分・・・ってあんた妊婦の気分を知ってるのか。

どうりゃぁぁぁぁぁぁ!と気合を入れても、ひゅうぅぅぅぅ〜と抜けていくのが判る。

体温を測ると37度。あわわわわ。平熱が36度ギリギリのワタシにとってはキケン区域に隣接。
ここのところずっと夕方から37度だったのが、昼まで侵攻してきたということか。

喉の具合も強烈に悪くなって、屋内でも喉がすぐカラカラになるので「賛成1条件付き賛成2」で「風邪」ではなく「インフルエンザ」と判断。(←なんのこっちゃ)

喉をヒィヒィ言わせながら今年最後の資源ゴミ回収や、ちょっとしたソージやなんやかんやを終らせて廃人モードに入る。

ハイ。これで明日は何もしなくても大丈夫・・・かなぁ?

クスリを飲んで、厚着をして(lainな)ボーシを(←懲りてないのかお前は)被ってマスクをして丸くなる。なんか冬眠している小動物という感じ。

で、喉がしんどくなったら白湯をすすって温める。

それでもダメならぬるま湯にうがい薬を入れてうがいをする。

難儀な年の瀬だがしようがない。

知り合いの会社は「正月をしたら新作が落ちる」らしい。
曰く「とりあえず、雑煮は食うけどな・・・」
これは元旦の朝食に雑煮を食べて、ハイご馳走様、では頑張って働きましょうという意味だ。

そういうことは・・・まぁ何回もあったような気がする(爆)。
弁当屋は閉まってて、吉野屋しか開いてなくて、牛丼漬けになってたような。
もはや24時間暖房が付きっぱなしで牛丼の匂いが立ち込める開発室。

「うむ。正しく漢の職場じゃ〜」と言えるかどうかはさておき、極限状態の男所帯だったような気がする。

それに比べれば冬眠の真似事が出来るだけでもシアワセと言うべきか。

でも、あの男所帯の極北が何となく懐かしいのは、時が流れて「昔のこと」になったからかも。
まぁ、後一日で年が一つ流れていく。「昔のこと」が一つ増えるんだろう。

■今日が今年最後なので・・・1999-12-31 (Fri)
久しぶりに音楽系の話題で年を〆ようと思います。
音楽系サイトの意地というか、最近奥様系サイトになりつつあるというか。

ちょっと難しいかもしれませんが、つらつらと読んでみて下さいな。

「風雨来記」の先行サントラ、1曲目の「風の轍(わだち)」の解説。
解説のコーナーを作ろうかとも思ったんですが、まだそんな時期ではないだろう・・・と。

技術的な問題は
・3本重ねてあるエレアコギターパートがごちゃまぜにならない。
・後半に入って来るストリングスとギターが干渉しない。
・後半のリード音が2パートのユニゾンなのをどう処理するか。

この3点です。

ギターは左、右、センターの3本。
左と右は同じフレーズを弾いている様に聞こえますが、良く聞くと、左チャンネルはより細かく、右チャンネルは左チャンネルのアクセント部分を弾いて、後は伸ばしていることが分かります。

こうすることによって、リズムの広がりを生かしたまま、センターのギターを立てる余地を作ります。

左右のチャンネルのエフェクトはピンポンディレイといわれる左右交互にエコー音が出るエフェクトの応用。
左チャンネルは100msと300ms、右チャンネルは200msと400msのディレイが重なります。
こうして100ms毎のディレイを左右で起こすことによって左右のパートの「一体感」を出します。
この一体感故に、ギターパートが左右で別の事をやっているにもかかわらず、心理的には「同じ事をやっている」様に思える訳です。

さらに弾くときにピックを変えています。
左は、アタック音を出しすぎると右とのバランスが取り難くなるので、角の尖っていない3角ピックでネック寄りで演奏。
右は、伸びる部分のブライトさを損なわないように、角が立った3角ピックで、ややブリッジ寄りで演奏。

センターは、音の太さを優先して、ティアドロップ型のピックの丸い部分を一旦弦に当てて、指の力でピックを弓なりに曲げて、その位置から、ブリッジ寄りに斜めに引きぬくように弾いています。テーマ部分は全部、一度弦にあてて止めて引き抜くやりかたです。
斜めに引きぬくのは、和音で弾いているメロディの高い方の音がより目立つようにです。

こういう工夫をして、全パートが重なったときに「何が何やら判らない」様にならないようにする訳です。


後半に入って、ストリングスが入ってきますが、意外にギターとストリングスは音域が近く、同じところで鳴らすと干渉したみたいな感じになります。特に倍音の多いアコースティックギター系は注意ですね。
今回はストリングスは4つの音を混ぜてあります。
センターに2つの音源を小さな音量でずらして配置。左右に付いては音が引っ込みやすいSG01kを使用しています。
この時、まったく同じセッティングのものを2台用意して、片側を逆相モードのスプリングリバーブを通しているのがミソ。なぜかスピーカーの外側、奥に定位が広がります(心理的にそう感じる錯覚なのかもしれない)。
これを使って、ギターパートのさらに外側奥にストリングスを持ってくることによって、ギターパートとストリングスのぶつかりを避けて、さらに奥行き感を出します。


後半のリード音はハーモニカとシンセの笛のユニゾンですが、合計音量ではシンセの笛の方が大きいのに、前にはハーモニカが出てきます。
シンセを引っ込めて、さらに背景に溶け込ませるために、「エコーマシーン」を使いました。
デジタルリバーブでもないデジタルディレイでもない「エコーマシーン」。
高域特性が劣化するので、さらに引っ込んだ感じになります。
これでリードは同一平面でならないで、奥行きの違う場所で鳴るようになります。

上記のストリングスの操作との合わせ技で、後半のパートに入ったときに音場が前後に広がる感じがします。

もちろん、それ以外にMIDIデータ上のディレイは行っていますが、なかなかエコーマシーンの域には達してくれません。

そういう今のテクノロジーと1970〜80年代のテクノロジーの共存っていうのが、今の自分の中のテーマに成っているんじゃないかな・・・・そんな風に思います。


久しぶりに硬派な楽器屋のアンチャンという感じで、今年も〆たいと思います。
夜にアクセスして総まとめをしようかなと思いましたが、テレホ以降は今日は混むでしょうから、隣のアンチャンとして年を越したいと思います。

皆様も、良いお年を。

PS:帰省出来なかった人に矢野顕子さんの「ごはんができたよ」をお勧めします。

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